2023年5月23日
リバースモーゲージ
【FP解説】信用金庫のリバースモーゲージとは?銀行との違いや共通点など選ぶポイントを解説

リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関等からお金を借り入れる融資の仕組みです。毎月の返済額は利息のみで、元金は契約者が亡くなられた後、相続人が担保となっていた家を売却するなどの方法で返済します。リバースモーゲージは、銀行だけでなく信用金庫でも取り扱いがあります。信用金庫のリバースモーゲージについて、特徴や銀行との違い、共通点を解説します。たくさんの金融機関から商品を選択する際にお役立てください。

信用金庫とは?

信用金庫とは、地域の人や企業を主な利用者対象とした金融機関です。預金通帳を作り、預金することは誰でもできますが、融資の相談は原則として会員しかできません(制限付きで会員外貸出も可能)。会員になれるのは、主に以下のような人です。

【その信用金庫が営業区域に定めた地区内に】

  • 住所がある人
  • 事業所がある人
  • 事業所がある会社の役員
  • 勤労している人
  • これから引っ越すことが確実な人
  • 事業所の場合は、従業員300人以下、あるいは資本金9億円以下であること

参考:一般社団法人全国信用金庫協会HP「信用金庫と銀行・信用組合との違い」

なぜ会員制かというと、信用金庫は地域貢献型の非営利組織であり、地域の繁栄を図ることが第一目的とされているためです。株式会社である銀行は株主の利益が一番に優先されますが、信用金庫は共同組織であり、地域に住まい、あるいは会社を構える会員の利益が最優先となります。

企業としての会員資格が中小企業に限定されているのも、「地域社会の発展に貢献する」信用金庫の性格を強く打ち出すためです。銀行は、大手であればあるほど大企業との大きな取引が優先され、地域に密着した小さな企業は取引してもらうのが難しいことも珍しくありません。一方信用金庫は、地域密着の小さな企業をこそ応援します。

信用金庫が扱うリバースモーゲージの特徴

リバースモーゲージを取り扱っている信用金庫はたくさんあります。あなたの街の信用金庫でも、商品が用意されているのではないでしょうか。信用金庫が扱うリバースモーゲージの特徴は、以下の5つです。

地域が限定されている

その信用金庫が営業地域に定めている地区内に自宅を所有している人だけが、リバースモーゲージを利用できます。

契約時の対象年齢は50代以降、80代まで

契約時の対象年齢は、各信用金庫によって違います。しかし、「契約者が亡くなられた後に担保財産を売却して返済する」という仕組みの性格上、シニア世代から利用できるところがほとんどです。「50歳から」「55歳から」「60歳以降」の3つが主流で、「70歳以降」としているところもあります。契約時の対象年齢の上限は80歳や84歳というところが多く、かつ「契約者本人の認識能力が確かである」ことが必須条件になっています。

連帯保証人は不要

連帯保証人を立てる必要がないところがほとんどです。ただし、かわりに各信用金庫が指定した保証会社の審査を通ることが必須となります。

借入限度額は最高で1億円ほど

借入限度額はおよそ1億円程度で、「7000万円まで」「5000万円まで」など、各信用金庫で設定金額が違います。ただ、誰でも借入限度額まで借りられるということではなく、もちろん審査があります。各契約者の借入限度額は、担保となる自宅の査定額のおよそ5割程度までです。

資金の使い道は自由だが、投資目的はNG

リバースモーゲージで借りたお金は、生活費や旅行費、老人ホームへの入居金など、自由に使えます。ただ、投資目的や事業のための資金には使えません。あくまで「老後の生活のための資金」と捉えましょう(一部の信用金庫では事業目的の借入を認めている場合もございます)。

信用金庫が扱うリバースモーゲージと銀行との違い

信用金庫が扱うリバースモーゲージと、銀行のリバースモーゲージで、最も違う点は「対象エリア」です。信用金庫の方が、銀行よりも対象エリアが狭い傾向にあります。信用金庫のリバースモーゲージを利用したいと考えたら、何より先に対象エリアをチェックしましょう。

また、全国に店舗やATMのある大銀行であっても、リバースモーゲージの場合は対象地域を都市部に限定しているところがほとんどです。一方で、ネット銀行系は幅広いエリアをカバーしています。

ほか、「対象年齢」や「資金使途」「貸出限度額」「金利」など条件面については、信用金庫と銀行の間にこれといった差は見当たりません。各銀行、各信用金庫で、個別に条件を定めています。

リバースモーゲージを選ぶポイント

リバースモーゲージの商品を選ぶ際には、自宅が対象エリアとなっている信用金庫や銀行のプランを細かく確認する必要があります。商品のパンフレットを読むときには、以下の3つに注目し、比較しましょう。

金利を比較する

各金融機関によって定める金利は違います。金利は毎月の返済額に反映されるため、なるべく負担が少ないほうがよいですが、そう簡単な話でもありません。世の中の金利が上昇すると返済額がアップする金利変動型と、一定の金利のもと利息を支払う固定金利型があり、固定金利型の方が金利を高めに設定している場合が多いためです。

また、リコース型とノンリコース型でも、金利は違ってきます。リコース型とは、担保となる自宅を売却しても返済額に届かないとき、相続人が残債を負担しなければならない仕組みです。ノンリコース型であれば、残債の負担はいりません。一般的に、ノンリコース型は金利が高めに設定されています。

なるべく金利が低いところがよいというのを大前提として、金利変動型と金利固定型、リコース型とノンリコース型、どれを選ぶのがよいかを比較してみましょう。

借り入れの方法を比較する

借り入れ方法は、各銀行・各金融機関によって違います。一般的には、次のような借り入れ方法があります。

【どの方法も融資限度額に達するまで】

  • 毎月、決まった金額を借り入れる
  • 希望額を、一括して借り入れる
  • 随時、店頭で借り入れができる
  • 随時、ATMで借り入れができる

金融機関によっては、「店頭での借り入れはOKだがATMはNG」など、方法に制限を設けているところもあります。自分が最も利用しやすいのはどの借り入れ方法かを考え、対応している金融機関を選びましょう。

自宅の査定額を比較する

これは実際に融資の相談に行かなければ比較できない方法ですが、自宅の査定額を比較するのは、他の2つのポイントと同様に大切です。なぜならば、査定額が高くなるほど、融資限度額も高くなるためです。多少面倒でも、複数の金融機関に足を運び、具体的な相談をした上で、融資限度額を聞き出しましょう。大きな金額が必要な人ほど、査定額を知ることは重要です。

まとめ

以上、信用金庫のリバースモーゲージについてご案内しました。銀行のリバースモーゲージと大きな差はありませんが、それぞれの金融機関が独自の条件を定め、特色ある商品を展開しています。自宅が対象エリアに入っている金融機関のリバースモーゲージ商品には必ず目を通し、細かく比較検討した上で選びましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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