2023年1月10日
老後
【FP解説】老後に悠々自適な生活を送るために知っておきたいこと

定年後はあくせく働くことなく、悠々自適な生活を送るのが夢という人はいませんか。理想の老後を実現させるために、今から準備できることがあります。悠々自適な生活とは具体的にどんな生活のことをいうのか、その生活を実現するためにはどんな準備が必要なのかを解説します。また、いざ定年になったら実施したいこと、注意点などもあわせてご案内します。

悠々自適な生活とは

悠々自適な生活とは、のんびりゆったり、気の向くままに生活することを指します。スケジュールに縛られることなく、「旅行に行きたい」と思い立ったらいつでもどこへでも出かけていく。昼食後にはコーヒー片手に読書をし、気づいたらうたた寝をしている……。老後は、そんなふうに暮らしたいと考えている人も、多いのではないでしょうか。

働きバチのような生活から解放され、24時間すべてが自分のものになるのですから、好きなことをして過ごしたいですよね。定年後とはいっても、今のシニアは元気そのものです。趣味のゴルフを楽しんだり、新しく社交ダンスを始めたり、行ったことのない国へ訪れてみたり。定年前からきちんと準備をしておけば、悠々自適な生活も夢ではありません。

悠々自適の使い方

ここで、「悠々自適という言葉をいつも無意識に使っているけれど、本当はどういう意味?」と気になった人もいるかもしれません。「悠々」は、のんびりゆったりと落ち着いている様子を表します。一方で「自適」は、自分の思うように過ごすことを指します。いくつか使用例をご紹介します。

例文①一生分のお金を貯めて仕事を辞め、今は悠々自適の生活だ。

ただ仕事を辞めただけでは、悠々自適の生活は手に入りません。24時間が全て自分のために使えるとしても、つましい暮らしでは好きなことができませんね。生活に不自由しないこと、日々の煩雑さにとらわれないこと。この2つが揃って初めて、「悠々自適」な生活が手に入るのです。

例文②彼女は好きなように暮らしている。悠々自適っていいな。

気ままな暮らしを楽しんでいる人をうらやむときにも「悠々自適」が使われます。なにものにもとらわれない自由さを表す言葉です。

例文③悠々自適が長生きの秘訣です。

ストレスがない暮らしを楽しんでいることを表すときにも「悠々自適」が使われます。

悠々自適の類語と対義語

悠々自適には、同じような意味の言葉があります。また、反対の意味を持つ言葉もあります。それぞれ、どんな言葉があるのか例文を交えてご紹介します。

類語①自由気まま

四字熟語ではない、日常的になじみの深い類語としては「自由気まま」があります。なにものにも縛られることなく、自分の思うとおりに振る舞うことを指します。

類語②閑雲野鶴

「かんうんやかく」と読みます。世間一般のしきたりに縛られず、野に遊んでいる鶴のように、のんびりと自分のペースで過ごすことを指します。

類語③晴耕雨読

晴れた日には畑を耕し、雨の日は家の中で本を読む。田舎暮らしの穏やかさを表す言葉です。

対義語①多事多端

「たじたたん」と読みます。何かと仕事が多く、些末な用事に追われ、落ち着く暇がないことを表します。

対義語②戦々恐々

物事に強い恐怖を示し、ビクビクしている様子を表します。「悠々自適」のゆったりした様子とは、対照的です。

対義語③貧乏暇なし

生活がカツカツなため、忙しく働かなければならないことを表します。

悠々自適な生活を送るための準備

老後に悠々自適な生活を送るために、定年前から準備をしておくことが大事です。どんなことが必要になるかご紹介しましょう。

体力づくり

のんびりゆったり、気ままな生活を楽しむためには、健康でなければなりません。どんなに時間とお金があっても、病気で動けなければ悠々自適とはいえないので、今から体力作りに励んでおきましょう。

必要生活資金の把握

お金がなければ、気ままな暮らしはできません。自分が月にいくらあれば暮らしていけるかを把握し、退職金や年金を活用してやりくりできるかどうか試算しておきましょう。

老後に必要な資金はどれくらい?老後資金の貯め方や今からできる準備方法を説明

スマホやタブレットを使いこなす

今のシニアは元気とはいえ、だんだん足腰が弱くなってくる頃には、通販や情報収集などをするにあたり、インターネットが生活の強い味方になります。また、画像を編集して美しい写真に仕上げてくれるアプリなど、スマホはどんな世代にとっても「面白い」と感じられる機能の宝庫です。新しい趣味を増やすためにも、スマホやタブレットを使いこなしておきましょう。

悠々自適な生活を送るために実施すること

いよいよ定年となったら、悠々自適な生活を送るために何を実施すればよいでしょうか。5点ほど紹介します。

身体を使う趣味を一つ持つ

体力づくりは、シニアになってこそ続けたいものです。ジム通い、社交ダンス、ゴルフなど、身体を使う趣味を一つ持ちましょう。いつまでも健康で若々しい体を保てれば、悠々自適な生活がもっと楽しくなります。

生活資金の調達体制を作る

生活資金が少ないという試算が出たら、調達体制を作るべきです。とはいえ、現役世代のようにがむしゃらに働けば、悠々自適な生活からは遠のきます。今ある自分の財産を活用して資金を調達するのが、シニアの賢いやりくりです。預貯金運用のほか、大きな財産である自宅を担保にお金を借り入れ、自分の死後自宅を売却することによって返済を行うことも出来るリバースモーゲージなども視野に入れましょう。

リバースモーゲージとは?仕組みとメリットやリスクなど注意点をわかりやすく解説!

家の整理をする

快適なシニア生活には、すっきりとした部屋が欠かせません。障害物だらけの家では、何かにつまづいて転んでしまうことも。骨がもろくなっていると、そのまま骨折、寝たきりの生活に突入することもあるのです。不用品を片付け、移動しやすい部屋にしましょう。

最新の情報収集を怠らない

私たちの生活は、新しい商品の登場によってどんどん便利になっています。トレンドに敏感なのは若い世代という印象が強いですが、生活に便利なものを活用したほうがよいのは、むしろこれから体が弱ってくるシニア世代のほうです。テレビやネットを上手に利用して、最新の情報収集を怠らないようにしましょう。トレンドをチェックしているうちに、新しく興味の持てるものも生まれるかもしれません。

家族を大切にする

悠々自適な生活には、家族の協力が欠かせません。もしもあなたが「家族で旅行に行きたい」と言っても、配偶者が拒めば、それは叶わないでしょう。家族との関係を大事にしましょう。あなたが自由にふるまえるのは、家族の理解あってこそです。

悠々自適な生活を送るための注意点

悠々自適な生活を送るために、どんな点に注意すればよいのでしょう。3点、ご紹介します。

生活資金が足りているかを常にチェック

資産を運用して資金繰りをしている人は、自分の資産の総額を常にチェックしておきましょう。定期的にマネーの専門家に相談し、アドバイスを得ておくと安心です。

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「詐欺かも?」に敏感になる

悠々自適な生活を送りたいと、資金形成や資産運用について様々な専門家に相談するうちに、詐欺被害にあってしまう恐れもあります。うまい話にはすぐに飛びつくのではなく、いったん引いて冷静になるくせをつけましょう。いざ詐欺に引っかかってしまうと、老後の資金全てを失ってしまう結果になりかねません。

ひきこもりに注意

何もしない生活を好むあまり、一日中テレビを見るだけの引きこもり生活に陥ってしまう人もいます。誰とも交流せず家にこもる生活が続くと、気分が暗く、うつ傾向になるおそれがあるうえ、運動不足によって健康を損ねる可能性も否定できません。悠々自適を楽しみたいなら、人と交流する時間を大事にして、心身を健康に保ちましょう。

まとめ:悠々自適な生活には、綿密な計画が必要

悠々自適といえば「気まま」というイメージがありますが、老後に本気で悠々自適を楽しむためには、定年前からの綿密な計画が必要です。「健康」「お金」「人間関係」いずれも大事にし、失わないよう気をつけましょう。この3つを充実させれば、いつまでも輝くシニアライフを送れます。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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