2023年3月31日
老後
老後の生活の不安を解消!必要な老後資金や楽しみために今からできることを解説

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若い頃から年金をコツコツ納めてきたものの、いざ退職したら、特に贅沢な生活をしなくても、生活費などの老後費用が2000万円以上は足りなくなることをご存じでしたか? 国は、国民年金とは現役時代の備えと併せて老後の生計を維持する制度、としています。つまり、現役時代の蓄えがあってこそのもの、ということ。年金だけに頼れない老後の生活を守るために、今から備えられることを解説します。

老後の生活は何歳までを想定する?

一口に「老後」といっても、何年間くらいの備えを考えておけばいいのでしょうか? 寿命は人それぞれで算出しにくいものですが、平均寿命から想定することはできます。

日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳

近年、世界的にも長寿大国と目されている日本ですが、厚生労働省の発表した簡易生命表によると、2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳となっています。男性が60歳で退職した場合、その後20年以上も老後の生活があり、女性に至ってはさらに30年近く続くということになります。

老後の生活に必要なお金

前出の老後の年数と年間の支出を割り出し、老後の収入から差し引くと、年金に加えて備えておくべきおおよその金額がわかります。

老後の収入

会社を退職後の収入として想定されるものは、多くの場合、公的年金、企業年金、退職金でしょう。そのほかに加えられるものとしては、それまで勤めた企業にて継続雇用で働く、別の仕事で新たにパート・アルバイトとして働く、自ら起業する、などがあります。総務省統計局によれば、年金受給者1世帯当たり1か月平均の実収入は21万1000円で、うち可処分所得は17万8000円です。

老後の支出

一方、同調査での消費支出は、25万8,000円でした。その内訳は、まず退職前と同じように、衣食などにかかる生活費がかかります。中でも食費は、健康維持のためにもむやみに削るわけにはいきません。

さらに、退職後に増えると考えられるのが、保険医療費です。シニアになるとどうしても通院の回数が増えたり、持病の悪化のほか、転倒によるケガなどで入院治療費がかさむ可能性もあります。また、通勤定期を購入できなくなることや、家にいてインターネットや動画を見る時間が多くなることから、交通・通信費も増えることが考えられます。

そのほか、子や孫への贈り物などで大きな割合を占めるのが交際費。65歳以上になって割合として増える場合が多くなっています。

反対に、金額が減る項目は住居費。ローンを払い終えた人は一息つけるところです。しかし、住居の修繕費や、バリアフリー化するリフォーム費、高齢者住宅への住み替えの費用など、次なる住居費が発生するケースもあります。

必要な老後資金

上記の調査の、年金受給世帯の収入から消費支出を差し引いてみると、月々8万円程度は不足します。年間で96万円ほどのお金が不足し、それが20~30年間続くとすると、老後の生活に1,920~2,880万円は必要という計算になるのです。しかも、これは健康で老後を過ごせた場合のこと。この他、入院や介護などの必要が生じた際の費用を考えると、やはり、老後資金として2000万円以上は必要になると考えられます。

老後の生活への準備

しかし、2,000万円もの大金をどう備えたらよいのでしょうか。そこで、不安を解消し、老後の生活を快適に過ごすために、今からできる準備を3つ挙げます。

老後の収入・貯蓄と、必要な費用を割り出してみる

年金などの収入と、貯蓄を把握しておきましょう。また、一度家計簿をつけるなどして、具体的な月間支出を割り出しておくことも重要。その支出を20年間、30年間とまかなえるだけの収入・貯蓄があるのかを確認します。

家計を見直してムダな支出を抑えるなど、生活レベルを整えておく

収入・貯蓄よりも支出のほうが上回った場合、生活レベルを落とす覚悟が必要です。老後になって急に生活レベルを変えることは難しい場合が多いので、なるべく早い段階から家計を見直し、ムダな支出を抑えるように心がけ、老後も続けられるよう習慣化しておきましょう。

老後資金の貯め方や準備手段を考える

毎日の生活から少しずつ貯蓄しておく必要があります。

自動積立タイプの定期預金や賃金から天引きされる財形貯蓄なら、無意識のうちにまとまった貯金をすることができます。また、近年加入者数が増えている個人型確定拠出年金であるiDeCoは、自分で掛け金を決められ、引き出しは60歳以降となるため、自分で準備する年金として注目されています。

同じく注目を集めているのが、個人家向け税制優遇制度・NISAです。運用益が非課税になる点がメリットです。資金運用としては、株式やFX、先物取引などもあります。これらは損失が出る場合もあるので、初心者は入門書を見たり、プロが指導する講座などで勉強をしたりしたほうがよいでしょう。

運用する資金もないし、貯金もそんなにない…という人は、リバースモーゲージという仕組みを活用するのも手です。自宅を担保に借り入れを行う仕組みで、元金の返済は契約者が亡くなってから、相続人が自宅を売却することなどで返済を行います。持ち家のある人に近年注目されています。

リバースモーゲージとは? 仕組みとメリットやリスクなど注意点をわかりやすく解説!

老後の生活の楽しみ方

必要な老後資金や備え方を把握できたら、老後の楽しみ方も考えておきたいですね。これまで忙しくしていて、ようやく仕事も子育ても卒業したのに、これといった趣味がないから困っている、という人も多いようです。そこで、せっかくできた時間を充実したものにする、老後の生活の楽しみ方を紹介します。

健康のためになる趣味や習慣をもつ

楽しい老後を過ごすために大事なことは健康管理です。退職してやることがなく、1日中家に居て、テレビを見るような生活を送っていると、すぐに筋肉量が落ちて、転倒によるケガ・入院やフレイル(虚弱)の要因になります。また、ぼんやり過ごす生活は早期に認知症になる可能性も出てきます。そうならないためには、散歩する、脳トレになるような認知機能低下予防のパズルに取り組む、などを日課にするとよいでしょう。

シニア割引を活用する

バスなどの公共交通機関や映画館などの娯楽施設では、シニア料金が設定されているところが多くあります。路線バスで近場の名所を巡ったり、割安に映画を楽しめておトクな気分も味わえるので、一人でも、友達同士でも、ぜひ活用したいところです。

ボランティアで社会貢献

まだまだ元気だし、人の役に立ちたいという方には、シニアボランティアがおすすめ。活動の種類はさまざまで、子供の下校時の見守りや、町内パトロール、清掃活動など、特別な資格やスキルがなくても、貢献できることがたくさんあります。ボランティア募集など情報は、各自治体の福祉課などに問い合わせるとよいでしょう。

様々な対策で資金に余裕を持たせて老後の生活を楽しんで

以上、老後に必要な資金と、老後を楽しむために今からできることを解説しました。忙しく過ごしている時は、なかなか老後にどんな生活を送りたいかまで考えを巡らす余裕もないですが、これを機に、老後資金のシミュレーションをし、どんなセカンドライフを送りたいか考えてみてはいかがでしょうか。

老後に必要な資金はどれくらい?老後資金の貯め方や今からできる準備方法を説明

岩崎周子

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雑誌、書籍編集を経て、シニア層の生活・健康にかかわる記事を手がける。特に近年は、相続・実家じまい関連のテーマに力を入れて活動中。
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