定年退職後は、どのような生活を望みますか。定年退職後に再就職したいと思ったとき、どう探せばよいのか、向いている仕事は何か、何を準備しておけばよいのかを、分かりやすく解説します。また、再就職と再雇用、どちらが良いか迷っている人のために、それぞれのメリットとデメリットをご案内した後、定年退職後の制度に関してもご紹介します。
定年退職後、どのように再就職先を探すのか、考えたことはありますか。定年を迎えてから仕事を探し始めるよりも、定年前に準備を始めておいた方が、希望の職種に就ける可能性は高まります。再就職の探し方には、主に次の5つがあります。
今まで得たスキルや人脈を使い、これまでと同じような仕事をしたいと考えているなら、人脈を利用して職探しをするのがいいでしょう。「●月に退職するのだけれど、何か仕事はないだろうか?」と、知人に声をかけておきます。
ただし、希望する月給額や仕事内容といった希望をはっきり伝えないと、予想とは全く違う内容の仕事を紹介される恐れがあります。紹介者が目上の人だと断りづらくなってしまいますから、希望は初めにきちんと伝えておきましょう。あなたがこれまでどんな仕事をしてきたか知っている人ほど、希望にマッチする案件を紹介してくれるでしょう。
全く新しい仕事に就きたいときは、ハローワークの求人情報を見てみましょう。ただ、シニア向けの求人は限られており、また賃金が低いものもあります。条件をよく読み、理解した上で応募しましょう。定年前に履歴書や職務経歴書を用意しておくとスムーズです。
人材紹介会社、派遣会社は多々ありますが、シニア向けの案件をたくさん持っているところは限られています。シニア向けをうたっているところに登録しましょう。定年になる少し前から登録し、希望の職種についてのヒアリングを終えておけば、定年後、より早く希望の仕事をみつけられるでしょう。
会社の再雇用制度を利用するのも一つの手です。再雇用には、メリットもあればデメリットもあります。後ほど、詳しく解説します。
現役時代に築き上げた専門的スキルに自信を持ち、組織に入るより独立してやっていきたいと思っているなら、起業という手もあります。ひとくちに起業といっても、会社を立ち上げるか、個人事業主になるかで準備することは違います。スムーズに起業を叶えるには、定年前に、起業の仕方について一通り勉強しておく必要があります。
定年退職後、日本のシニアは実際にどんな仕事に就いているのでしょうか。政府の労働力調査によると、60歳以上の就業者が就いている仕事として多いのが、次の5職種です。
事務はあまり体力を使わず、それまで会社で培ってきたパソコンスキルなどが活かせる仕事です。時短勤務などの対応も取りやすく、シニアに向いているといえるでしょう。
現役時代に培った専門スキルや技術を活かし、再就職を果たしている人が多いようです。
販売・サービス業は、パートやアルバイトとして働きやすい環境が用意されています。「フルだと体力が持たないから、週に何日かだけ働きたい」といった、シニアの希望にマッチします。
工場等での生産工程も、販売・サービス業同様、パートやアルバイトとして働きやすい環境が整っているといっていいでしょう。
運搬・清掃・包装に携わるシニアは、60代よりも70代以降の方が、割合が大きくなります。目を酷使する事務仕事や、長時間の立ち仕事などから「朝の短時間だけ、清掃を行う」といった働き方にシフトするシニアの姿が連想されます。
再就職のほかに、再雇用も選べる人は、「どちらにしよう」と悩んでしまうでしょう。どちらにも、メリットとデメリットがあります。以下を参考に、自分にとってメリットが大きく、デメリットを解消できると思える方を選びましょう。
定年退職後は収入がぐっと減ってしまいます。国の制度を積極的に活用したいものです。主なものを3つご紹介します。
60歳以降、賃金が75%未満になってしまったら、高年齢雇用継続給付を受けられないか調べてみましょう。5年以上厚生年金に加入していることなど、いくつか条件があります。
定年退職で仕事を辞めたとしても、すぐに働ける状態で仕事を探しているのであれば、失業者と同じ扱いになり失業給付を受けられます。再雇用制度を利用しない人で、退職後も次の就職先が決まっていないなら、離職票などを持ってハローワークへ出向きましょう。
会社勤めを20年以上続けており、老齢厚生年金の受給権者であれば、後期高齢者医療制度に加入するまで、これまでと同じ健康保険に加入できます。国民健康保険に切り替えるよりもお得です。自分の会社が加入している健康保険組合が対象になっているか、調べてみましょう。
定年後、全く新しい仕事に就くのか、継続雇用の安定を選ぶかはあなた次第です。家族とも十分話し合い、人生の再スタートを明るいものにしましょう。もちろん、生活資金に余裕があるなら完全にリタイアするという選択も可能です。現役よりも選択肢にあふれ、ゆったりした人生が、あなたを待っています。