2023年4月30日
老後
老後にマンションを購入したことを後悔?老後に陥りやすい老後資金問題の対策方

近年、老後の生活に合わせて、これまで家族で住んでいた郊外の戸建てから、生活に便利な都心部のマンションに住み替えをするケースが増えています。けれどもマンション購入で思わぬ出費が重なり、老後資金が目減りして後悔するケースもあるようです。老後にマンションを買って後悔しないためにはどうしたらよいのでしょうか? またマンション購入により老後資金が目減りした場合の対策方法についても解説します。

老後にマンションを購入したことを後悔した理由

マンションの多くはバリアフリーで、エレベーターもあり、足腰が弱くなるシニア世代には心強いものです。防犯カメラやオートロックの設置や、管理人がいる安心感も、防犯面では大きなメリットになります。
しかし、それでも老後にマンションを購入して後悔するケースがあるようです。その主な理由は、以下の5つです。

初期費用が掛かり過ぎて後悔

マンションを購入する際は、初期費用が掛かります。年齢的に住宅ローンを組むのは難しいですから、持ち家を売却したお金を原資として、現金でマンションを購入する人がほとんどです。
しかし、20~30年と住んでいた持ち家の資産価値は低く、思ったような金額で売れないこともあり、マンションに住み替えの際に持ち出しになるケースもあります。
持ち出しにならないとしても、不動産所得税や登録免許税、印紙税、仲介手数料など、購入には物件価格の3~8%の初期費用が掛かるとされていて、これらは現金で用意しなくてはなりません。仮に物件価格が3,000万円だった場合、初期費用は150~240万円かかる計算になりますが、主だった収入源がないシニア世代にとって痛い出費です。

管理費や積立修繕金がのしかかってきて後悔

マンションは、これまで戸建てで払う必要がなかった費用が毎月かかります。それが管理費と修繕積立金です。これらの費用はマンションに住む以上、毎月発生する費用です。
老後にマンションを購入する場合、多くの人は高額な新築マンションではなく、中古マンションを選びます。これは寿命を鑑みて、生きている間の20~30年ほど住めればいいと考えるからなのですが、そういった中古マンションほど大規模な修繕費が必要で、修繕積立金も年々値上がりしていきます。収入のないシニアにとって、これは手痛い出費になります。
もちろん購入したのなら固定資産税がかかります。

部屋の規模が戸建てと違い後悔

マンションは戸建てと比べると狭い間取りが多いものです。玄関の間口、廊下の幅が狭く、配置できる家電や家具の大きさに制限があります。一軒家では収まっていた家具や家電が入らず、結局買い替える羽目になれば、購入費用に加え、粗大ごみの引き取り費用がかかります。

隣人トラブルで後悔

隣人がクレーマーだった、上の階の小さな子供が走り回る足音がうるさい、隣の家が夜遅くまで大きな音で音楽をかけているなど、マンションには隣人トラブルがつきものです。このようなトラブルは住んでみて初めて分かるものですし、購入してしまうと引っ越しも簡単ではありません。

急な環境の変化に対応できず後悔

都心部に近くなり、利便性は高くなったものの、住み慣れていた土地のコミュニティから離れてしまったため、新たに人間関係を構築しなければなりません。自分が通う買い物先や病院を探すなど、引っ越し先の住まいに慣れるためには時間を要します。
もしマンションへの住み替えを考えるなら、老後になって慌てるのではなく、気力や体力がある50代のうちに、ライフプランを含めて考え始めたほうがよさそうです。

老後の持ち家のメリットとデメリット

マンションを購入した場合の、メリットとデメリットについて解説します。

老後の持ち家のメリット

持ち家のメリットは、何よりもいつまでも住める安心感でしょう。マンションの場合、賃貸物件よりも分譲物件のほうが長く住むことを想定して作られているので、設備が充実しているのが一般的です。また、ローンを完済さえしたら、払うのは毎月の管理費と修繕積立金、そして固定資産税のみで、支払いの負担が格段に減ります。
老後に合わせてバリアフリーや浴室のリフォームなど、内装が自由に変えられるのも持ち家だからこそです。
何より持ち家は、頼もしい資産になるので、それを担保にお金を借りることも可能です。
老後の収入源は年金や再雇用など限られていますから、収入に不安が重なる世代にとっては、大きな安心材料になるでしょう。

老後の持ち家のデメリット

一方、デメリットとなるのが、高い購入費用です。物件を購入する際には、中古であっても物件の3~8%の初期費用(イニシャルコスト)がかかります。これは敷金、礼金、仲介手数料等だけで済む賃貸とは大違いです。また、一度購入すると気軽に引っ越しはできません。もし専有部分の設備が故障したら、基本的に修繕費は自己負担です。
そしてもうひとつ、老後に持ち家を持っていると、面倒なことになる場合があります。それが、もし自分が亡くなったあと、不動産を引き継ぐものがいなければ、空き家になってしまうことです。
子供がすでに違う地方で新しい暮らしをしている場合、どこかのタイミングで自分の持ち家の売却を検討しないと、子供に空き家が残ることになり大きな負担をかけます。
売らずに残し、子に相続するとしても、大きな資産だけに相続税がかかるケースもありますし、空き家であれば、相続した子が固定資産税を支払い続けなくてはなりません。

相続税の税率と計算方法をわかりやすく解説!税金を抑えるための節税方法とは

老後の賃貸のメリット

老後にマンションを賃貸した場合の、メリットとデメリットについて解説します。

老後の賃貸のメリット

賃貸物件の場合、毎月発生する費用が賃料や管理費のみの点です。もし賃貸設備が故障しても修繕費用は基本的に大家が受け持つので、住まいを維持するコストはそれほどかかりません。固定資産税がかからないのも、魅力のひとつでしょう。
そして、もうひとつのメリットは、ライフスタイルの変化で住まいを選べる点です。人生100年時代ですから、老後であっても人間関係や仕事に何が起こるか分かりません。もし再雇用で70歳まで働くとしたら、通勤に便利な所へ引っ越しできるのが賃貸のよいところです。

老後の賃貸のデメリット

デメリットは、家賃を払い続けなくてはいけない点です。
住み続ければ、そのぶん家賃はかかります。2年に1回の更新料も当然のしかかってくるでしょう。なお、一般的に同じ場所に50年以上住んだ場合、トータルコストは賃貸の方が高くなるといわれています。
老後資金の蓄えがさみしくなってきてから家賃の安い物件へ移ろうとしても、高齢者になると孤独死や家賃滞納のリスクから、新規で賃貸契約を結ぶのが困難になります。持ち家とは違って足腰が弱くなってもバリアフリーなどのリフォームが自由にできない点も、賃貸のデメリットです。

老後資金に備える方法

老後資金が心配になってきた場合、資産である持ち家は強い味方になります。持ち家を貸し出す方法や、不動産を担保として融資を受ける方法を紹介します。

持ち家の貸し出し

老後資金に不安がある場合は、持ち家を人に貸し出し、その家賃収入で新たに自分の家を確保するという方法があります。ファミリータイプだった家を貸し出し、それよりコンパクトで安い物件に住めば、その差額が現金収入となります。

持ち家の売却、リバースモーゲージ、リースバック

思い切って持ち家を売却すれば、現金で、新たな物件を購入することができます。
「でも、住み慣れた土地から離れたり、持ち家を手放したりするのは不安…」という人は「リバースモーゲージ」や「リースバック」を利用するのも手です。

「リバースモーゲージ」とは、持ち家を担保にして、自治体や金融機関等から受ける融資です。
持ち家を売却することなく、使った金額の分の利息を負担するだけで家に住み続けられるのが優れている点です。一般的には、契約者の死後、借入金の返済に充てるために持ち家は売却されます。持ち家を引き継ぐ子や親族がなく、自分の死後の空き家問題が気になる方にとっては知っておきたい方法でしょう。
ただし、築年数が経った中古マンションはリバースモーゲージが適用されにくい場合があること、受けた融資は事業や投資には使えない場合があることには注意しましょう。

リバースモーゲージとは? 仕組みとメリットやリスクなど注意点をわかりやすく解説!

そしてもうひとつ知っておきたい方法があります。それが「リースバック」です。
リースバックとは、不動産会社に持ち家を売却したうえで、その会社に賃料を払いながら、同物件に住み続けることができるサービスです。売却金の資金使途が限定されることは無く、事業用や投資目的にも活用できるため自由度が高く、一度に多くの資金を得たい人に向いています。また、マンションであっても対象となりやすいのが特徴です。
ただし、賃料を支払い続ける必要があり、長く住むと賃料の総計が売却額を超えることもあることには注意しましょう。

リバースモーゲージとリースバックの違いは?どちらを活用するのが良いか徹底比較

不動産は老後の生活を支える頼もしい資産

マンションを購入するには、大きな決断が必要です。とりわけ収入よりも支出が上回る老後は、購入してから後悔しないよう金銭面やライフスタイルを考慮して、自分に合った物件を選びましょう。持ち家は老後資金が不安になったときの味方となる資産です。「リバースモーゲージ」や「リースバック」についても知識として頭に入れておくと安心です。

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平川恵

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編集ライター。FP(2級)、整理収納アドバイザー(2級)等の資格を生かし、編集・執筆。雑誌、書籍、Web、 広告などの制作に携わる。マネー記事のほか、主婦実用、ダイエット、美容記事も数多く執筆。
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