老後

年金生活でのやりくりはどうすればよい?老後の収入や生活費からポイントを紹介

2022年7月8日

「働いていた頃と、収入が全然違う」「赤字の生活が続いても、働いて補填することができない」など、年金生活でのやりくりは頭を悩ますものです。老後のお金で苦労しないように、必要な老後資金について知っておきましょう。具体的な老後の生活費について紹介したうえで、老後の収入を増やす方法や、老後の生活費を節約する方法を解説します。

老後の年金生活での収入と生活費

老後の年金生活をやりくりするために、平均的な年金受給額や、老後の生活費にいくらかかるのかを知っておきましょう。総務省の家計調査報告(令和2年)から、65歳以上の年金生活者の収支が分かります。

老後の年金収入は、夫婦なら22万円、単身なら12万円

総務省のデータによると、高齢者二人世帯(65歳以上の夫婦世帯)の社会保険給付の平均額は、月々21万9,976円です。一方で、令和2年版の「民間給与実態統計調査」によると、60歳から64歳の会社員の平均年収は422万5,000円。月にならすと35万2,000円ほどです。会社員と専業主婦の夫婦であれば、年金生活者になると月々の収入が急に13万2,000円も減ってしまうことになります。

単身者の場合はもっと深刻です。高齢者単身世帯(65歳以上の一人暮らし)の社会保険給付の平均額は、月々12万1,000円ほど。会社員として平均的な給与をもらっていた場合、月々の収入が半分以下になってしまいます。一人暮らしは自分以外に金銭面で支えなければならない人はいませんが、急に「収入が半分以下になる」という状況は、不安になります。

老後の支出月額は、夫婦なら25万円、単身なら14万円

同じ総務省のデータによると、高齢者二人世帯(65歳以上の夫婦世帯)の一ヶ月の支出(生活費等の消費支出と、税金等の非消費支出を合わせた金額)の平均値は、25万5,550円です。年金を受給していても、毎月3万5,000円ほどの赤字が出ることが分かります。

仮に、夫婦二人で90歳まで生きるとすると、トータルの赤字額は1050万円にもなります。つまり、1050万円を老後までに貯めるか、節約して毎月の赤字額を縮小するか、いずれかの対応が必要です。貯金額が少なければ節約を、節約ができそうになければ収入を増やさなければいけません。

一方で、高齢者単身世帯(65歳以上の一人暮らし)の一ヶ月の支出の平均値は、14万4,687円です。年金しか収入がなければ、毎月の赤字額は2万3,700円ほど。90歳まで存命であれば、トータルの赤字額は711万円にもなります。やはり、貯金や節約は不可欠です。

老後の年金生活での収入を増やす方法

現役時代の貯蓄額が老後資金として十分でない場合は、シニアからでも収入を増やす方法を学びましょう。以下の5つが考えられます。

元気なうちは働くことを選択する

月々の赤字分を補填するため、老後もパートやアルバイトで働くことは最も取り組みやすい老後資金対策です。体が元気なうちは、働くことで体力を維持できるうえ、社会に接していれば気持ちにも張りが生まれます。

「定年後は起業を」と一念発起するのも、1つの方法です。ただ、定年後に始めた事業が失敗してしまうと、若いときより挽回することが難しいもの。自分が得意なこと、世の中に役立てられることのなかから起業分野を選択して、確実に収入が見込めるようにしましょう。また、自宅で開業するなど、あまり初期投資が大きくならないような工夫が必要です。

投資を始める

今ある老後資金を元手に、少しでも資産が増えるよう、投資をするという選択肢があります。ただ、投資の初心者がハイリスクな取引に手を出すと、元本割れを起こしてしまう恐れも。老後は、投資によってこうむった損害を後で働いて補填するのが難しくなるため、投資信託などリスクの低いものから始めるのが大切です。

年金の繰り下げ受給を選択する

通常、年金の受給開始時期は65歳からですが、繰り下げ受給を希望すれば、受給開始時期を70歳まで遅らせられます。繰り下げ受給においては、一ヶ月受給を遅らせるごとに0.7%ずつ年金額が増えていきます。仮に70歳からの繰り下げ受給となると、受け取る年金は、65歳からの受給と比べて42%も増加します。

繰り下げ受給をしない場合の年金受給額が22万円だったら、42%増で31万2,400円。夫婦二人の生活費を、十分まかなえます。

よって、定年になった時点で健康な人は「元気なうちは、バイトやパートで頑張る」と決め、繰り下げ受給を選択するのもおすすめです。

リバースモーゲージを活用する

リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関などからお金を借り受ける、シニア向けの融資システムです。不動産を担保にお金を借りるローンとしては「不動産担保型ローン」などが知られていますが、リバースモーゲージには、とくにシニアがお金を借りやすい仕組みがあります。

リバースモーゲージの仕組みのポイントは、毎月の返済額が利息のみであること、借り受けた元金は、ご契約者がお亡くなりになった後、相続人が家を売却するなどの方法で返済することです。つまり、存命中は住み慣れた家で暮らしながら、少額の利息を返済するだけで、老後の生活資金を調達できるのです。

リバースモーゲージの多くは、対象年齢が60代からとなっており、資金用途は事業用など投資目的でなければ基本的に自由です。住宅ローンの借り換えやリフォーム資金のためなど、住宅特化型のリバースモーゲージもあります。

また、リバースモーゲージを利用すれば、「自分が亡くなる前に、将来空き家となる家の売却先を決めておく」ことになります。この視点から、終活の一環として利用する人もいます。

リースバックを活用する

リバースモーゲージと似た仕組みに、リースバックがあります。リースバックとは、自宅を売却したうえで買主と賃貸契約を結び、家賃を支払いながら自宅に住み続けられるサービスです。住み慣れた家で暮らしながら、まとまった売却金が手に入ります。

リースバックの契約には年齢制限がなく、売却金の用途制限もありません。また、自宅の買い戻しが可能なので、将来子世代が「実家を買い取りたい」と思ったときにも対応できます。

老後の年金生活での生活費を節約する方法

次は、生活費を節約する方法について。具体的には、次の5つが考えられます。

家庭菜園で、体の外側からも内側からも健康を手に入れる

先に紹介した「家計調査報告」によると、65歳以上の世帯では、「食料(食費)」が支出の約3割を占めています。よって食費を削れば節約効果が期待できますが、貧弱な食事は不健康のもと。高齢になればなるほど病気になりがちなので、単純に食事を貧しくするのはおすすめできません。

家庭菜園や市民菜園で野菜作りを始めれば、食事の内容を貧しくせずに、食費を節約できます。なにより日光に当たって力仕事をする農業は、健康作りにもってこいです。食費を節約すると同時に、シニア家計の6~7%を占める「保健医療(医療費)」の節約にもつながります。

おつきあいのための贈り物は手作り品か、あるいは「奉仕・貢献」で

65歳以上の世帯の「交際費」は、夫婦世帯では支出の8.8%、単身世帯では11.5%を占めます。高齢になればなるほど、心を通わせ、ときには助け合う友人の存在は重要です。よって交際費を削るのはなかなか難しいですが、工夫をすれば節約は可能です。

例えば、得意な裁縫技術や料理の腕を活かした手作り品を「ありがとう」のお礼を込めて贈るのはいかがでしょうか。釣りの成果や家庭菜園でできた野菜をおすそ分けすれば、相手は新鮮な食品を手に入れることができます。

また、「お互い様」の関係を築くことで、頻繁な贈答は必要なくなります。友人が旅行に出かけている間のペットの世話を買って出るなど、かけがえのない友人の日常に貢献すれば、日ごろの感謝は自ずと伝わるでしょう。友人からは、あなたの貢献に対して「お礼を」との申し出があるかもしれません。そこで「お互い様だから、次に私が困ったときによろしく」と言えれば、お金をかけた贈答を、お互いにやめることができます。

体を動かす趣味を持つ

65歳以上の世帯の「教養娯楽」費は、夫婦世帯では支出の8.8%、単身世帯では9.7%と、交際費と同様、無視できない存在感を示しています。なかには、現役時代よりも余暇がある分、趣味や娯楽のための出費が膨らんでしまう人もいます。

節約のためにおすすめなのが、体を動かす趣味です。ジョギング、ウォーキング、登山、犬との散歩、ヨガなどは、必要最小限の道具で楽しめるので、趣味のための出費が抑えられます。さらに運動することで健康になれば、医療費も節約できます。

インターネットを積極的に活用する

通信費は、格安のスマートフォンなどを活用すれば抑えられますが、ほかに節約の余地があまりないのが問題点です。インターネット使い放題のサービスに加入しているなら、積極的に活用しましょう。

無料で音声通話、ビデオ通話ができるサービスを使えば、通話時間を気にせず友人とおしゃべりできます。動画やコミックの配信サービスには、無料枠がたくさん用意されていますし、シニアのブログを閲覧すれば、自分と同世代の人たちがどのように暮らしているかがわかるでしょう。インターネットは、娯楽や知恵の宝庫です。活用しない手はありません。

日曜大工に手を出してみる

マイホームの修繕やリフォームは、ときにはまとまったお金が必要になるものです。大規模な修繕はプロに任せるしかありませんが、水回りの修理やペンキの塗り替えなどが自分でできれば節約になります。「日曜大工」というと、棚やいすを作るといった作業が思い浮かぶかもしれませんが、家のちょっとした修繕ができるようになるという目的で臨めば、節約につながります。

老後の資金管理のポイント

ここまで、老後の収入や節約について解説してきましたが、大事な資金をいかに管理するかというのも、シニアにとって外せないポイントです。老後は、次の3点に意識して、資金管理を行いましょう。

住居費、医療費など「これからかかる費用」に備えておく

仮に一か月単位の家計収支がトントンになったとしても、安心はできません。突発的に、数万円から数十万円の単位でプラスの支出が発生する可能性があります。収入の少ない年金生活においては、事前の貯蓄で賄うことになるため、老後に生じやすい出費について把握しておきましょう。具体的には以下の2項目が挙げられます。

  • 住居費

マイホームのメンテナンスや、介護のためのバリアフリー化。とくに屋根周りや床下のメンテナンスは、数十万円の出費になることも。バリアフリー化は、介護保険が適用になる工事であれば補助金が下りますが、支給されるのは工事費の9割で、20万円が限度額となります。家の構造部分まで手を入れるような、本格的なリフォームとなると、自己負担金が多く発生します。

  • 医療費

ぎっくり腰、心臓や脳の障害、風邪をこじらせてしまい肺炎を発症するなど、高齢になるとケガや病気で通院する機会が増えます。いざ入院となったらどのくらい保険が下りるのか、加入している医療保険をもう一度確認しておきましょう。

なお、入院時には治療を受けるための費用ばかりではなく、病院内で着るパジャマやスリッパなどの被服費、家族がお見舞いに通うための交通費など、思いがけず出費がアップします。保険金でカバーできそうかどうか、シミュレーションするのも大事です。

投資を行っている人は情勢を常にチェック

投資期間が長いほどお金を増やしやすいといわれます。しかし、シニアにとって、長期投資をこれから始めるのはなかなか難しいものです。すぐにお金が必要になったとき、そのタイミングでは「売ったら大損」になってしまうかもしれません。基本的には長期投資のつもりでいても、値動きをこまめにチェックし、金融機関の担当者ともしっかり打ち合わせを重ね、売り時を逃さないようにしましょう。

信頼できる身内と任意後見契約を結んでおく

老後の適切な資金管理にとって、大きな不安要素が「認知症になり、管理がずさんになるのでは?」ということ。厚生労働省によると、2025年には、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると試算されています。いざというとき、家族や信頼できる身内に適切な資産管理をしてもらえるよう、任意後見契約を結んでおくのが安心です。

任意後見契約とは、認知能力が健常なうちに、将来認知症などで判断能力が低下した場合の後見人を決めておく契約です。契約書では、後見人のほか、金銭管理や身の回りのことなど、管理や保護をしてもらう範囲を決めておくことができます。認知症になってからでは、自分の意志で後見人を決めることができなくなるため、あらかじめ契約を結んでおきましょう。

まとめ

以上、年金生活のやりくりについて解説しました。ここで紹介した年金収入や高齢世帯の支出は、あくまで平均値です。実際に自分の老後の資産管理を考える場合には、自分自身が将来もらえる年金額や、今の家計支出を参照してシミュレーションしましょう。老後をつつがなく過ごすために、現役時代にしっかり貯金し、また健康に留意した前向きな節約を行って、金銭的な不安を取り除くのが大事です。

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