2023年1月10日
相続
【FP解説】親が亡くなったら必要な手続きや相続に関することを時系列に優先順位を付けて解説

親が亡くなると、死亡届に始まり相続手続きまで、膨大な数の手続きをしなければなりません。役所関連の手続きの多くは「死後2週間まで」、供養に関することは「四十九日法要まで」などそれぞれ期限があるため、優先順位を決めて動くことが大事です。何から手をつける必要があるのかを分かりやすく示すために、死後の手続きを時系列でご案内します。

親が亡くなってから1週間以内で実施すること

親が亡くなってから一週間で、あるいはなるべく早く実施することは、以下の通りです。

死亡届

死後7日以内に、市町村役場へ死亡届を提出します。死亡届と引き換えに、火葬時に必要となる「埋火葬許可証』が発行されることが多いため、葬儀社が代理で届出することが多いでしょう。

国民健康保険証の返却

期限はありませんが、なるべく早く返還します。国保の場合は葬祭費、組合などの健保の場合は埋葬料を受け取ることができます。

運転免許証の返却

警察署に、なるべく早く返還することが望ましいとされています。

クレジットカード解約

故人の口座は相続を行うまで使えませんので、カードも使えなくなります。なるべく早く解約しておきます。

ライフラインの解約や名義変更

故人が一人暮らしだった場合、ライフラインを早く解約しないといつまでも基本料金が取られてしまいます。また、故人のクレジットカードや口座を引き落としに使っていた場合は、引き落としができなくなってしまうため、速やかに名義変更しましょう。

遺言書の検認

公正証書による遺言は検認が不要ですが、そうではない遺言書が存在する場合、故人の住所地の家庭裁判所による検認が必要になります。これをしないと相続が始まりませんので、公正証書によらない遺言書を見つけたら、速やかに検認を請求しましょう。

親が亡くなってから2週間で実施すること

親が亡くなってから2週間で実施することは、以下の通りです。役所に行くときは二度手間にならないよう、複数の必要書類をまとめて確認しておくようにしましょう。

世帯主の変更

世帯主の変更手続きは、市区町村役場へ死後14日以内に行います。

年金受給停止手続き

故人が年金を受けていた場合は、市区町村役場や年金事務所で受給停止手続きをしなければなりません。国民年金は死後14日以内、その他は10日以内が期限です。

介護保険資格喪失届

介護保険被保険者証を市区町村役場に返却します。死後14日以内が期限です。

四十九日法要の手配

死後2週間頃から、四十九日法要の手配を始めましょう。僧侶と日程を打ち合わせし、参加してほしい親族へ知らせ、人数分の料理やお返し物を発注します。

香典返しの手配

葬儀の際に即日返し(香典と引き換えに香典返しを渡すこと)をした場合でも、受け取った香典の金額が多額であった場合には、四十九日法要までをめどに追加の香典返しを行う必要があります。香典返しの金額の目安は、いただいた金額の2分の1から3分の1程度です。供花や供物、弔電をくださった人へのお返しも、忘れないようにしましょう。

親が亡くなってから3か月程度で実施すること

親が亡くなってから3ヶ月程度で実施することは、以下の通りです。

相続放棄、あるいは限定承認

相続放棄をしたい場合は、期限があるので注意しましょう。親が亡くなってから3ヶ月以内が、相続放棄や限定承認の期限です。限定承認とは、相続したい財産だけを限定で相続するための手続きです。

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故人の確定申告(準確定申告)

一般的な確定申告の期限は3月15日ですが、故人の確定申告は、相続人が相続開始を知ってから4ヶ月以内に行います。これを準確定申告といいます。

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相続に関する手続き

相続に関する手続きは少し複雑です。相続そのものに期限はありませんが、前項で示した通り、相続放棄は3ヶ月以内に行う必要があります。また、相続税が発生する場合は、相続税の申告と納付を10ヶ月以内に行わなければなりません。

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よって、葬儀後はすぐに遺言書を探し、光視症所でない場合は速やかに家裁の検認を請求しましょう。その後、四十九日法要までに故人の財産を全て確認しておき、相続人が顔をそろえる四十九日法要の機会を逃さず、相続会議を行うのが理想です。

相続が複雑になりそうな場合や、相続税がかかりそうなときは、弁護士や税理士などの専門家に相談するのがいいでしょう。相続人だけで無理に計算しようとすると、時間がかかるうえ、どうしても不公平が生じてトラブルになりがちです。

親が亡くなってからの手続きは一人で抱え込まないのが大事

以上のように、親が亡くなってからの手続きは多種多様で、期限もあります。親の居住地の市区町村役場には出向けないという、働き盛りの人も少なくないことでしょう。全て自分で手続きしようとせずに、相続人で手分けしたり、故人の居住地近くに事務所を構える行政書士に相談したりして、負担を減らすことが大事です。

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奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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