2023年1月10日
相続
【FP解説】追善供養の意味とは?どんなことをするのか?いつするのか?やり方や服装を解説

追善供養とは、故人がきちんと成仏できるよう、残された人が法要やお墓参りを行うことです。具体的には、亡くなってから49日目をめどに行う四十九日法要、命日をめどに行う年忌法要、仏壇への給仕などがあります。初めて喪主になった人の中には、よくわからず戸惑ってしまう人も多いことでしょう。いつ、どんなことをすればよいのかを、追善供養の種類ごとにご案内します。

追善供養とは

追善供養とは、この世に残された人が、あの世に行った故人が成仏できるように祈りをささげることを指す、仏教の言葉です。残された人が故人を想って仏壇を拝んだり、お墓参りをしたり、僧侶を呼んで法要を行ったりすれば、故人は成仏できるとされています。

追善供養にはさまざまな種類があり、それらを取り仕切るのは、葬儀時に喪主を務めた人の役割です。葬儀のときは「喪主」でしたが、追善供養としての法要を仕切るときは「施主」となります。法要の案内を親族らに送ったり、僧侶や法要会館を手配したり、法要当日に進行役となったりするのは、全て施主の役目です。

追善供養の種類

追善供養の種類は、以下の通りです。

中陰供養

中院供養とは、故人が亡くなってから7日目ごとに営まれる法要を指します。初七日(7日目)から始まり、二七日(ふたなのか・14日目)、三七日(みなのか・21日目)と7日ごとに続き、七七日(しちしちにち)、いわゆる四十九日目に「満中陰」として大きな法要を行って終了します。

7日ごとに僧侶を自宅などに呼び、お骨や位牌の前でお経をあげてもらうのが正式ですが、最近は簡略化しています。四十九日の手前までを葬儀と同時に済ませてしまい、四十九日法要だけを納骨と同時に行うのが一般的です。

四十九日法要では、法要会館や自宅、お寺などに主な親族を呼び、僧侶にお経を読んでもらいます。その後、お墓に納骨を済ませ、会食を行って終了です。会食後には、香典返しの引き物を親族らに持たせます。

年忌法要

年忌法要とは、故人の命日をめどに行う法要のことです。毎年行われるのではなく、一周忌(亡くなって1年目の命日)、三回忌(亡くなって2年目の命日。3年目ではないので注意)の後は、7回忌(6年目)、13回忌(12年目)、17回忌(16年目)、23回忌(22年目)、27回忌(26回忌)、33回忌(32年目)と続きます。33回忌で「弔い上げ」とし、以後は個別の法要は行わないのが一般的です。

最近では、親族らが遠方に住んでいるケースも多く、簡略化が進んでいます。親族らが集まる法要としては7回忌や13回忌で終わりとし、あとは家族だけで行うという場合が多くなってきています。

お墓参り

普段のお墓参りもまた、追善供養の一つです。春明のお彼岸やお盆、年末年始などにお墓参りをする人が多いでしょう。

仏壇への給仕

仏壇がある家庭は、毎日仏飯やお茶をお供えすることで追善供養ができます。帰省の際に仏壇へお菓子などをお供えし、線香をあげるだけでも、追善供養になります。

追善供養を実施する時期

追善供養を実施する時期には、特長があります。中陰供養と年忌法要、それぞれご案内します。

中陰供養

中院供養の場合、初七日から六七日(ろくしちにち・42日目)までは、同日に行うのが一般的です。ただし、四十九日法要だけは、親族らが集まるという事情もあり、同日ではなく土日などを選んで構わないとされています。ただ、49日目を過ぎるのは「死者を待たせる」とされタブーです。

年忌法要

年忌法要は、故人の命日をめどに、親戚らが集まりやすい土日を選んで行うのが一般的です。ただ、命日を過ぎるのは「死者を待たせる」とされ、タブーと言われています。命日よりも一つ手前の土日を選ぶのがいいでしょう。

追善供養でのお布施と服装

追善供養で気をつけたいのが、お布施と服装です。それぞれ説明します。

お布施の相場

追善供養として行う法要のお布施の相場は、3万円です。ただし四十九日法要と一周忌は、亡くなってから日が浅いため少し厚く包むのが一般的です。また、お布施のほかに交通費として「御車代」を五千円ほど、ご飯代として「御食事料」を五千円ほど包みます。ただし、僧侶を車などで送迎したときや、法要の後の会食の僧侶が出席したときなどは省略できます。

法要とお墓参りの服装

法要には、とくに施主が指定しない限り、葬儀できるのと同じ喪服で参列するのがマナーです。ただし、7回忌以降など没後相当の時間が経ってからは、施主の指示のもと簡略にする家もあります。

また、法要を伴わないお墓参りのときは、地味な服装であれば喪服でなくてもかまいません。とくにお盆は真夏なので、喪服では暑すぎて体調を崩してしまいがちです。地味めの軽装が適しています。ただし、短パンなど過度に肌を露出する格好や、ビーチサンダルなどラフすぎるものは避けましょう。

追善供養は親族で話し合って適切なスタイルを選ぼう

追善供養は、簡略化の方向にあります。「きちんとやってあげたい」「親族はお年寄りが多いから、わざわざ来てもらうのは心苦しい」「みんな遠方だから、できる限り省略したい」など、各家族によって事情は様々です。

大切なのは、親族みんなで話し合い、納得のできる追善供養のスタイルを選ぶことです。時代が変わっても、故人を想う気持ちは同じ。祈る時間を大切に、自分たちなりの供養の仕方を探っていきましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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