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相続の遺留分とは?遺留分減殺請求や遺留分侵害額請求など制度の仕組みを解説

2021年3月16日 (2021年3月27日更新)

遺留分とは、相続人に認められる最低限の遺産を指します。「一人の相続人に全て遺産相続させる」など、明らかに偏った遺言があったとしても、一定の法定相続人は遺留分を認められ、最低限は遺産相続ができるのです。遺留分を主張する方法には、遺留分減殺請求や遺留分侵害額請求があります。相続人によって違う遺留分の割合や、制度の仕組みについて解説します。

遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、一定割合の遺産のことです。兄弟姉妹以外の法定相続人とは、具体的には配偶者と子どもら、子どもがいない場合は孫などの直系卑属、子どもや孫がいない場合は直系尊属となります。

また、配偶者や直系親族であっても、相続欠格者や相続放棄者、相続排除者については、遺留分が認められていません。

遺留分の割合は、誰が相続人になるかによって違ってきます。例えば、配偶者と子ども一人が相続人であった場合、本来の法定相続分は2分の1ずつです。しかし、認められる遺留分は、相続財産の2分の1にそれぞれの法定相続分をかけたものとなります。つまり、配偶者も、子どもも、4分の1ずつが遺留分として認められることになります。残りの2分の1は、被相続人(故人)が遺言で自由にできる割合として認められています。

【遺留分の例】

相続人

遺留分の割合(全体)

遺留分の割合(個人)

配偶者のみ

1/2

配偶者1/2

配偶者と子

1/2

配偶者1/4、子1/4

配偶者と兄弟姉妹

1/2

配偶者1/2、兄弟姉妹なし

子のみ

1/2

1/2

配偶者と父母

1/2

配偶者1/3、父母1/6

父母のみ

1/3

父母1/3

兄弟姉妹のみ

なし

なし

遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害されたとき、侵害者に対して侵害額に相当する金額を請求することです。例えば「父親の遺言に、弟に全て相続させると記述があった」といったときに有効です。また、遺留分を侵害すると知っているにもかかわらず行われた生前贈与や、相続開始前1年以内(故人が亡くなる1年前まで)の生前贈与も、遺留分侵害額請求の対象になります。

遺留分侵害額請求の方法

遺留分侵害額請求を行うにあたっては、相続開始および偏った相続が行われることを知った日から1年以内のうちに請求します。偏った相続財産を受け取った人に請求書を送るのが一般的です。書式にはとくに決まりがありません。このとき、請求の証拠を残すため、内容証明郵便で送ります。

相手方が請求に応じず、協議によっても合意が得られない場合、家庭裁判所にて調停を申し立てることが可能です。調停の申し立てとは別に、内容証明郵便などで調停の意思表示を行いましょう。申し立てに必要な書類は、以下の通りです。

【共通】
被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
相続人全員の戸籍謄本
被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書,固定資産評価証明書,預貯金通帳の写し又は残高証明書,有価証券写し,債務の額に関する資料等)

【相続人に被相続人の父母が含まれている場合】
父母の一方が死亡しているときは,その死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
※ 同じ書類は1通で足ります。
※ 戸籍等の謄本は,戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれる場合があります。
※ 申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は申立後に追加提出することでも差し支えありません。
※ 審理のために必要な場合は,上記以外にも追加書類の提出をお願いすることがあります。
(引用:裁判所ウェブサイト

遺留分減殺請求とは

遺留分減殺請求とは、平成30年の民法改正前に使われていた名称で、遺留分を侵害した者に最低限の財産を請求するという意味では、遺留分侵害額請求と変わりありません。何が違うのかといえば、請求する財産の内容です。

遺留分減殺請求という名称だった頃は、現金ではなく、不動産や株式など物的財産そのものが遺留分の対象となることもありました。すると、不動産を分割しようとしても他の相続人が反対し、手続きがなかなか進まないといった問題が発生していました。

改正後の遺留分侵害額請求では、遺留分は物納ではなく金銭で支払うよう統一がなされました。遺留分の財産を全てお金に換算し、債権として請求するのです。

遺留分制度の仕組みや時効

遺留分制度では、遺留分侵害額請求を行う順序が指定されています。また、時効もあります。順番に解説します。

遺留分侵害額請求を行う順序

・遺贈と生前贈与では遺贈が先

遺産の相続について請求する分と、生前贈与について請求する分とがある場合、合計額をまとめて請求したり、複数の人に同時に請求したりすることはできません。まずは相続財産の合計額を算出し、そこから自分の遺留分を計算して、遺贈分から請求します。遺贈分への請求によって自分の遺留分が確保されたなら、生前贈与への請求はできません。侵害額が残ったなら、生前贈与分について残額を請求できます。

・生前贈与が複数ある場合は贈与の日付が新しいものから請求する

生前贈与が複数ある場合は、贈与の日付が新しいものから順番に請求します。ひとつ目の生前贈与で遺留分が確保されたなら、以後は請求できません。

遺留分の時効

遺留分侵害額請求には、時効があります。先に示したように、相続開始及び請求すべき贈与又は遺贈があったのを知ったときから1年以内に申し立てが必要です。また、相続開始から10年を経過したら時効になります。

自分に振りすぎる遺言がある場合は遺留分を調べよう

「全財産を愛人に」といった、無茶な遺言が見つかることもあります。故人の遺志だからと諦めずに、自分が法定相続人であれば、認められる遺留分がないかどうかをまず調べてみましょう。そのためには、故人の財産を全て把握し、計算するのが前提になります。

遺産のリスト化は時間のかかる作業です。できれば生前のうちにリスト作成を進めておきましょう。また遺産が多く複雑になる場合は、専門家に依頼するのもおすすめです。

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