遺産として土地を相続することになった人のなかには、「兄弟と、土地をどう分け合おう?」「土地を相続したらいくら税金がかかるのか?」と悩み、疑問に思う人もいるでしょう。複数の相続人で一つの土地を相続するのはなるべく避けたほうがよいですが、どうしてもという場合は共有も可能です。土地を相続する方法とかかる税金について、また土地相続の際の注意点について解説します。
土地を相続したら、相続登記を行います。相続登記を怠っていると、土地を処分できなかったり、賃貸契約が結びづらくなってしまったりします。親名義の土地は「他人の土地」なので、勝手に売ることはできないのです。また、相続登記は土地を取得したことを知ってから3年以内に申請しなければ、10万円以下が過料されるようになります。
相続登記の流れは、以下の通りです。
相続登記には、おおむね以下のような書類が必要になります。ケースによって用意するべき書類が違うため、法務局に相続人が決まった経緯を説明し、追加で何が必要になるかを聞いてみるのがおすすめです。
遺産相続の手続きに必要な戸籍謄本とは?必要な範囲や取得方法を解説
相続登記の手続き方法は、次の3つのうちから選べます。
参考:不動産登記の電子申請(オンライン申請)について(法務省)
まず、相続税というのは、家や車、現金といった遺産に、個別にかかるわけではありません。遺産のトータル金額を算出してから、相続税の計算にかかります。よって、相続税の計算は、まず家や車といった財産それぞれの評価額を算出することから始まります。
土地と家屋の評価額は、土地の評価額と、建っている家屋の評価額を足して計算します。まず、家屋の評価額は、固定資産税評価額×1.0と定められています。つまり、固定資産税評価額が、そのまま家屋の評価額になります。
一方で、土地を評価するためには、「路線価方式」あるいは「倍率方式」を利用し、評価額を計算します。
その他、賃貸物件や事業用、居住用として家屋が使われている場合は、評価額が調整されたり、減額されたりする特例があります。
土地の評価額が算出されたら、車や骨とう品など他の遺産の評価額や、現金・証券類の金額と合わせ、遺産の合計金額を算出します。相続税は、遺産の合計額が、控除額を超えた分にかかります。相続税の基礎控除額は、「3000万円+相続人の数×600万円」です。亡くなった人の配偶者と子ども2人が相続人なら、4800万円が基礎控除額となります。
相続税の税率と計算方法をわかりやすく解説!税金を抑えるための節税方法とは
土地を複数の相続人で分けて相続したいと考えたとき、次の4つの方法があります。それぞれ説明します。
土地をそのまま分割して相続する方法です。親の実家を子ども2人で相続したいといったときには、分割するわけにはいかず、この方法は使えません。山や森林といった、広大な土地を分けるなどの場合に可能です。
土地をある1人の相続人が相続するかわりに、他の相続人へ法定相続分の現金などを渡すのが、代償分割です。
例えば亡くなった人の配偶者がすでにおらず、子どもが3人いるとして、9000万円相当の実家があるとします。法定相続にのっとるならば3000万円ずつを分割しますが、家はもちろん1つしかありません。そこで、子どものうちの1人が家を相続する代わりに、他の2人に3000万円ずつの現金や、それに相当する現物(ほかの相続不動産など)を渡すのが、代償分割です。
相続する財産を売却して現金化し、相続人たちが分割するのが換価分割です。ただ、大事な遺産である土地を残せないことが難点です。
遺産を複数の相続人が共有名義人になって相続するのが、共有分割です。例えば実家について、亡くなった人の配偶者と同居する子ども、あるいは2人の子どもが共同で名義人となるケースがこれにあたります。
一番手間がかからない方法ではありますが、土地を処分するときは全ての名義人が同意しなければなりません。相続人同士の方針が違うと、いさかいのもとになります。
親の土地を相続する場合は、次のようなことに注意しましょう。
土地の共有分割は、トラブルのもとです。その土地をどう活用するかで相続人同士がもめてしまうと、売却や賃貸が進まなくなり、せっかくの遺産を有効に使えなくなってしまいます。また、土地名義を変更しないまま世代が進めば、土地の処分手続きはもっと複雑になります。
親の土地と思い込んでいるものが、実は親が相続登記を怠っており、名義は祖父になっているかもしれません。代をまたいでの相続登記は、中間相続人が一人だけである場合を除いて、2回の手続きが必要になります。まずは登記を確認しましょう。
親の土地は、例えば同居する子どもであったら「なんとなく」そのまま相続し、何の手続きも踏まずに過ごしてしまいがちです。しかし、相続登記の際には、相続人が確定していることを示す資料が必要になります。土地の相続が生じたら、必ず法定相続人同士で相談し、相続人をきちんと決めておきましょう。