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相続税の対策として生前贈与や養子縁組・不動産相続の方法をわかりやすく解説

2021年3月31日 (2021年5月10日更新)

「土地をたくさん持っていて、預貯金はない」「子どもが一人っ子で、配偶者に先立たれている」といった人は、相続税の対策をしたほうがよいかもしれません。近年の法改正により、相続税がかかる可能性のある人はぐっと増加しました。相続税対策の多くは、財産の名義人が生きているうちに行う必要があります。相続税対策としてよく使われる、生前贈与や養子縁組、不動産相続の方法を解説します。

相続税対策とは

相続税対策とは、遺産を相続する際の税金が安くなるよう、法律にのっとって節税の手立てをとることです。相続税の基礎控除額は、平成27年の改正で大幅に変わりました。これにより、相続税がかかる可能性のある人が、かなり増えたといわれています。

改正前の相続税の基礎控除額は、「5,000万円+1000万円×法定相続人の数」でした。つまり、相続人が子ども2人の場合、遺産総額が8,000万円までであれば、相続税がかかりませんでした。

しかし、改正後の相続税の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。相続人が子ども2人の場合、遺産総額が4,800万円以上であれば、相続税がかかるようになったのです。

相続税の基礎控除とは?申告不要の遺産総額の計算方法と注意点

この改正により相続税がかかる可能性が増したのは、「都市部に家がある」「法定相続人が少ない」人たちです。東京や横浜などに一軒家やアパートを有している人は、土地だけでも基礎控除額を軽く超えてしまう恐れがあります。また、子どもが一人っ子で、配偶者が亡くなるなどしてすでにいない場合は、資産が3,600万円を超えたら相続税が課されます。

相続税の税率と計算方法をわかりやすく解説!税金を抑えるための節税方法とは

相続税の改正により、相続税を節税したいと対策する人が増えてきました。対策には、大きく次の3つがあります。

  1. 生前に財産を贈与する
    生きているうちから財産を手放して、相続財産を減らします。さらに手放す財産を相続人となる子どもや孫などへ渡すことで、結果的には相続と同じように財産を引き継がせることができます。贈与税は高額なため、贈与税がかからない範囲で生前贈与を行います。
  2. 法定相続人を増やす
    養子縁組を行って法定相続人を増やします。ただ、相続税対策による不自然な養子縁組を防ぐために、法定相続人として認められる養子の数には制限があります。
  3. 不動産を活用する
    今、手元にある不動産を賃貸にしたり、マンションを購入して預貯金を不動産に変えたりすることで、節税効果を狙います。

以上3つの対策について詳しく解説します。

生前贈与の相続税対策

生きているうちから別の人へ財産を無償で渡す行為を、生前贈与といいます。贈与によって手元の財産を減らしておけば、相続の際に課税される遺産が少なくなります。

ただし、生前贈与による贈与税は、相続税よりも高くなります。生前贈与を行っても、相続税よりも高い税金が取られるのでは、節税になりません。そこで、贈与税のかからない範囲で、生前贈与を行います。

贈与税のかからない生前贈与には、次のような方法があります。

暦年贈与

贈与税の基礎控除額は、年間110万円です。つまり、誰に対する贈与であっても、年間一人110万円以内であれば、贈与税がかからないということになります。

ただし、贈与した人の死亡から3年前までの贈与財産は、贈与を受け取った人が相続人となる人であれば、相続財産にプラスされます。健康なうちから生前贈与を考えたほうがいいでしょう。

教育資金の贈与の特例(※現時点で令和5年3月31日までの特例)

30歳未満の子や孫といった直系卑属に教育資金を贈与した場合、1,500万円までが非課税となる特例です。ただし、教育資金の範囲はあくまで教育に関わるものであり、生活費などには使えません。また、学校以外への支払い額に制限があるなど、たとえ限度額いっぱいの1,500万円を贈与したとしても、使いきれるかどうかは詳しくシミュレーションしなければいけません。

子や孫が30歳までに使い切れなかった分は贈与税がかかります。また、子や孫が30歳になるまでに贈与者が亡くなった場合は、残額が相続財産として数えられます。

参考:No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)

結婚・子育て資金の一括贈与の特例(※現時点で令和5年3月31日までの特例)

「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」は、子や孫など直系卑属の結婚・子育ての支払いのための贈与に対して、1,000万円まで非課税となる制度です。このうち、300万円は結婚資金にあてられます。ただし贈与を受けた人が50歳になるまでに使い切れないぶんは、贈与税がかかります。

参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

養子縁組の相続税対策

養子縁組によって法定相続人を増やすことにより、相続税の節税ができます。例えば、現時点で配偶者がなく、子どもが1人いる場合、相続税の基礎控除額は3600万円です。しかし、養子を一人迎えると、法定相続人が2人になるため、4,200万円までが非課税となります。ただし、以下の点に注意しましょう。

税法における養子の人数には制限がある

相続税法では、法定相続人として認められる養子の数が決まっています。

  • 実子がいない場合
    養子は2人まで法定相続人に加えることができます。
  • 実子がいる場合
    養子は1人までしか法定相続人に加えられません。
  • 孫を養子にする場合
    養子として数えられますが、被相続人の子が相続開始前に亡くなった場合や、相続権を失っている場合を除き、相続税額が2割加算となります。

実子の法定相続分は減る

当然のことながら、法定相続人が増えれば、節税効果が期待できても、各法定相続人の相続分は減ることになります。節税のために養子を迎えるときは、実子ともよく話し合いましょう。

不動産の相続税対策

不動産の相続税対策には、以下の方法があります。ほとんどが、税法上の優遇措置を使ったものになります。

今ある不動産を賃貸に出す

賃貸物件は、借家権によって相続税評価額を下げることができます。借家権とは、借地借家法で規定された借主保護制度です。貸主が一方的に契約更新を拒否したり、借主の立ち退きを主張したりしたとしても、正当な理由がなければ認められません。

借家法によって借主の立場は守られますが、その分、貸主が建物に対して持っている権利は制限されます。そのため、制限された権利に対して、建物の相続税評価額が割り引かれます。割引率は30%です。

また、賃貸用の土地は貸家建付地と呼ばれ、こちらも相続税評価額が割り引かれます。土地も貸し出すことで所有者の権利が制限されるため、相続税評価額を割り引いています。割引率は地域によって異なります。

現金を不動産に替えて節税する

現金は、お金のままなら評価額は当然ながら100%ですが、不動産に替えることで評価額が下がります。

相続税の課税対象となる建物の評価は固定資産税評価額をベースに算出されますが、固定資産税評価額は、建築費を上回ることはありません。建築費の5割から6割ほどであることが多いでしょう。また、土地の相続税は路線価をもとに算出されますが、この路線価も、実際の取引価格の7割程度になることが一般的です。さらに購入した不動産を賃貸に出せば、上項に示した通りの節税効果が見られます。

このように、現金のままの場合と、その現金を使って不動産を購入した場合とでは、相続税の評価額にかなりの違いが出ます。人気エリアや駅直結物件といった人気のあるマンションの場合は、時価と評価額の差がさらに大きくなる場合があります。

相続時精算課税制度を使い、不動産を贈与する

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の推定相続人である子や孫に対し財産を贈与した場合、2,500万円までは贈与税が控除になる特例です。贈与の合計額が2,500万円に達するまでは、何度でも贈与できます。

ただし、贈与した時点では贈与税がかかりませんが、相続するときにほかの相続財産と合わせて相続税が課税されます。相続税よりも贈与税の負担が大きいため、相続時精算課税を使って生前贈与をすれば贈与税がかからず節税可能です。

相続税としていくら課税されるかは、贈与時の時価で計算されます。つまり、価値が上がることが見込まれる財産を贈与すれば、大幅な節税ができます。収益物件となる不動産を贈与することで、かなりの節税効果が見込めるでしょう。そのうえ、収益物件を贈与によって手放すので、預貯金が増えていくのを防げます。

相続時精算課税制度とは?一般贈与での相続との違いやメリット・デメリットを解説

配偶者に不動産を贈与する「おしどり贈与」

生きているうちに、配偶者に不動産を贈与すると節税になります。婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、住居や住居を得るための金銭贈与があった場合は、基礎控除110万円の他に、最高2,000万円までが控除となります。これを通称「おしどり贈与」といいます。

ただし、配偶者の相続に関しては、配偶者が相続によって得た財産のうち、「1億6千万円」あるいは「配偶者の法定相続分に相当する金額」までは、相続税がかからないという税額軽減の特例があります。配偶者の税額軽減をもってしても相続税がかかりそうな場合は、「おしどり贈与」が有効です。

参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

相続税対策はいろいろな手段を使うのがおすすめ

「相続税がかかってしまうかもしれない」と考えている人は、まずは自分の総資産がいくらあるのかを確認してみましょう。預貯金の金額や、不動産の評価額等を足し合わせ、また法定相続人の数を確認して基礎控除がいくらになるのかを計算することが大事です。そして、大掛かりな相続税対策が必要になると感じたら、税理士等、専門家に一度相談してみましょう。プロにアドバイスをもらいながら、不動産会社にも意見をもらうなど、いろいろな人の助力を仰ぎ、様々な手段を講じることがおすすめです。

孫への生前贈与での注意点とは?教育資金1,500万円や110万円について解説

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