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住んでいる家の相続はどうすればいい?遺産相続の方法や注意点をわかりやすく解説

2021年10月7日

「今住んでいる家を処分せずに相続したい」と考えている人は、遺産相続の際にどんな問題が起きやすいかご存知でしょうか。できれば、相続人と遺産分割においてトラブルになることなく、自宅や土地をスムーズに相続したいものです。亡くなった人の配偶者がそのまま住み続けられる配偶者居住権や、自宅を相続するときの特例など、遺産相続の方法や必要なこと、注意点についてわかりやすく解説します。

住んでいる家を相続する権利

亡くなった人の配偶者にとっては、残された遺産が自宅とほんのわずかな貯金しかなかったら、少し困った状況になります。他の相続人にも遺産を分け与えなければならないため、自宅を自分が相続するとなると、そのかわり相当な金額を他の相続人に支払う必要があるためです。

しかし、十分な金額を保有している人は決して少なくありません。このことから、他の相続人と遺産争いに発展するケースもあります。なかには、家を売り払ってまで財産をつくる人もいて、これでは故人との思い出が詰まった場所を維持できません。

こういった問題を解決するため、令和2年4月以降に発生した相続から新たに認められた権利が、配偶者居住権ならびに配偶者短期居住権です。

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、夫婦のうちいずれかが亡くなった場合に、残された配偶者が遺産である自宅に無償で居住できる権利です。建物の価値を「所有権」と「居住権」に分け、残された配偶者は居住権を取得することで住み続けられることになります。

残された配偶者が亡くなった人の法律上の配偶者であること、配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなったときに居住していたこと、遺産分割や遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したことが条件となります。

この居住権を利用することにより、他の相続人には所有権が、住み続ける配偶者には居住権が設定できます。

配偶者短期居住権とは

配偶者短期居住権とは、遺産分割協議がまとまるまで、残された配偶者が自宅に無償で住み続けられる権利です。協議が早くまとまった場合でも、被相続人が亡くなってから6ヶ月間は権利が保障されます。

遺言などで配偶者以外の相続人等が建物の所有権を相続したら、相続人はいつでも配偶者短期居住権を消滅させるよう申し入れられます。この場合でも、申し入れを受けた日から6ヶ月間は無償で建物に住み続けられます。

この権利により、遺言や遺産分割協議で住む家を失うこととなった配偶者も、一定期間は住宅を確保することができます。

住んでいる家を処分しないで相続する方法

配偶者居住権はあくまで配偶者のものですから、親と住んでいた子どもには適用されません。その場合でも、住んでいる家を処分しないで相続する方法はあるのでしょうか。住んでいる家の相続については、以下の方法が考えられます。

換価分割

住んでいる家を売却して換金し、売却益を相続人全員で分配する方法です。お金はキッチリ平等に分けられるため、相続人全員が納得のいく遺産分割が可能です。ただ、遺された家に住み続けたいと願う人がいる場合には適していません。

代償分割

住んでいる家を相続し、その家の土地建物の価額を割り出して、他の相続人に相当の金額を支払う方法です。例えば相続人が3人いて、価額3000万円の自宅を相続した場合、残りの2人に1000万円ずつを支払うことで平等な遺産分割とします。ただ、自宅を相続する人が十分なお金を持っていない場合には、適していません。

共有分割

相続人が共同で一つの土地の名義人になることです。ただ、この方法は、後に土地の利用に対する方針の違いでもめごとになる恐れがあります。さらに、相続人のうち1人が死亡すると、死亡した人の配偶者や子どもへ名義が移っていき、数十年後には「誰の土地なのか調べないとわからない」といった事態になることも考えられます。

現物分割

現物分割とは、遺産をそのままの形で相続する方法です。本来であれば、現物分割が一番簡単な相続方法といえます。ただ、自宅を3分割しようといったことは簡単ではありません。自宅の現物分割はほぼ不可能です。

以上の方法があることを考えれば、被相続人の配偶者ではない人が住んでいる自宅を相続したいと考えた場合、代償分割が現実的な方法となります。ただ、大きな金額を渡すのはそう簡単ではありません。現実には、「同居家族として親の面倒を見てきたのだから」「住み続ける限り、この家の管理はお任せするから」といった条件で、他の相続人が家の相続を許容するケースが大半です。

住んでいる家を相続する場合の問題

住んでいる家を相続する場合、次のような問題が発生することがあります。

相続税を納める可能性がある

住んでいる家が都心の一戸建てなどであった場合や、その家のほかにも遺産として相当な価額のお金や土地がある場合には、相続税を納める可能性があります。相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で、遺産総額がこの金額を超えなければ、相続税を納める必要はありません。

しかし遺産総額が基礎控除額を超えると、相続する人の属性にもよりますが、相続税が発生する可能性が高いため注意しましょう。相続税は相続財産の価額が高いほど高くなるため、評価額の高い自宅を相続した人は、他の相続人よりも相続税の負担が重くなる可能性があります。

ただし、被相続人の親族が住んでいた家については、小規模宅地等の特例があります。相続税の課税価額が最大80%減額される特例です。これにより相続税を免れるケースも多いです。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁)

「空き家問題」が自分の世代に持ち越される

住んでいる自宅をそのまま相続すれば、「空き家となった家をどうするか」「売却額をどうするか」「売却しようとしてもなかなか家の買い手がつかない」といった悩みからは解放されます。しかし、遺された配偶者や家族が亡くなったそのときには、そういった問題が生じる可能性があります。

自分が亡くなったとき、空き家問題の矢面に立たされるのは次世代です。自分に子どもがいなければ、他の兄弟です。自らが老後を迎えたら、徐々に「この家をどうするか」を考えていかなければなりません。

家の売却時に揉める可能性がある

他の相続人と話し合った結果、トラブルなく今の家に住み続けられるようになったとしても、その家を売却しようとしたときにトラブルが発生する可能性があります。「親との思い出が詰まったこの家を処分するのが辛いから、引き続き住んでもらうことにしたのに」「売却益を分割してもらわなければフェアじゃない」などと言われかねません。

相続した家を売却したくなったら、「自分が引き継いだ家だから」と勝手に話を進めることなく、一度他の相続人にも話をしておきましょう。

住んでいる家を相続する場合の注意点

住んでいる家を相続することになったら、以下のことに注意しましょう。

遺言書を書いてもらう

なるべく被相続人が存命のうちに遺言書を書いてもらっておきましょう。遺言書で、あなたが家を相続することが明確になれば、遺産分割協議をする必要はありません。他の相続人がそれを不服としても、本来の相続分よりかなり少ない財産を渡すだけで済みます。

なぜなら、相続法には「遺留分」という考え方があり、相続人が遺言書に不服があったとしても、本来の相続分の1/2しか請求できないと定められているためです。

家の取得や維持にかかるお金を把握しておく

家を相続したときには、相続税がかかる可能性がある他、登録免許税がかかります。登録免許税とは、土地建物の所有権を登記したときにかかる税金です。登録免許税は、「固定資産評価額×0.4%」です。また、毎年、固定資産税を納付していく必要があります。

また、家の維持費はけっこう高額になる恐れもあります。家が古くなるにつれて、水廻りのリフォームや外壁の補修が必要になり、雨漏りや白アリ発生などのトラブルも起こりやすくなります。生活費のほかに、維持費に回せるお金を確保しておきましょう。

相続後は速やかに相続登記を行う

以前、相続登記に期限はありませんでした。しかし空き家問題の深刻化により、「誰の土地かが分からない家」を減らすため、相続登記の義務化が2024年に施行される予定です。不動産取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料対象となります。土地の相続後は速やかに相続登記を行いましょう。

まとめ

住んでいる家の相続は、他の相続人との平等な相続という観点からいえば、そう簡単ではありません。しかし、家族仲が良く、事情をよく把握している相続人ばかりであれば、きっとスムーズに家の相続を終えられることでしょう。トラブルになった場合にも、配偶者居住権を行使することで、住まいだけは確保できます。

しかし住んでいる家の相続において最も大事なのは、被相続人に遺言書を書いてもらっておくことです。同居家族が元気なうちに、家の相続の難しさについて話をしておきましょう。

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