2023年6月30日
資金調達
【FP解説】不動産担保ローンの金利相場や仕組みをわかりやすく解説


不動産担保ローンは、土地や家などの不動産を担保に融資を受けるローンの仕組みです。返済ができなくなったら、担保にしていた不動産を売却することで返済に充てます。不動産担保ローンの金利は金融機関によって違い、また審査によっても年率が変わってきます。不動産担保ローンの金利相場や仕組みについて解説したうえで、金利を下げる方法をご案内します。

不動産担保ローンの金利相場

不動産担保ローンの金利相場は、銀行系とノンバンク系で変わってきます。それぞれ説明しましょう。

銀行系は1~9%

銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関で、預貯金の取り扱いがある会社を「銀行系」の金融機関とすると、これら銀行系の不動産担保ローンの金利は1%から、最大でも9%程度です。無担保ローンや後に説明するノンバンク系の不動産担保ローンと比べて、低めに設定されています。

金利が低めな分、審査は厳しめなケースが多々あります。銀行系のローンが組めず、同じ条件をノンバンク系に持ち込んだら審査が通った、という話も珍しくありません。また、厳しい審査を行うため、審査機関が3週間~1か月と長くなる傾向があります。

ノンバンク系は2~15%

ノンバンクとは、預貯金の取り扱いがない金融機関のことで、信販会社、証券会社、クレジットカード会社、消費者金融などが当てはまります。これらノンバンクが扱う不動産担保ローンは、銀行等に比べると審査が緩やかで、そのぶん金利が2~15%と高めです。
しかし、無担保ローンよりは金利を抑えられますし、銀行系と比べて審査期間は短めです。

不動産担保ローンの金利の仕組み

不動産担保ローンを含む、多くのローンの金利には、以下のような仕組みがあります。

金利は一律ではなく審査により決定される

多くのローンでは、金利は契約者ごとに、審査によって決定されます。「どのような人であっても、一律●%」と決まっているわけではありません。審査による金利への影響については後述します。

上限利率がある

ローンを取り扱う会社では、「金利1%~15%」などと、上限利率を決めています。上限利率よりも大きな金利を設定されることはありません。また貸金業法により、上限金利が定められています。法律で定められている上限金利は、10万円未満なら年率20%、10万円から100万円未満なら18%、100万円以上なら15%です。

固定金利と変動金利がある

金利には、固定金利と変動金利があり、多くのローンで契約時にどちらかを選ぶことになっています。固定金利とは、契約時から完済時まで一定の年率でかかる金利のことです。経済情勢の影響を受けず金利が一定なので、世の中の金利が上下しても、返済額に影響はありません。

一方で変動金利とは、世の中の経済情勢に合わせて金利が変動する金利のことです。金利が上昇すれば返済額は高くなりますが、下がれば返済額が低くなります。

返済期間が短いほど余計な金利を払わずに済む

金利は、ローンを支払い続ける限りは、元金に合わせて必ず支払わなければならないものです。それは、裏を返せば、返済期間を短くするほど、余計な金利を払わずに済むということになります。ただし、最初に契約した期間よりも短い期間で完済する繰り上げ返済を行うときには、手数料がかかる場合があります。

不動産担保ローンの審査と金利

不動産担保ローンの金利に影響する審査内容は、以下の5点です。

不動産の価値

無担保ローンであれば審査の内容は契約者の属性を調べるのが中心となりますが、担保型のローンでは、担保とする資産の価値が審査の中心的な内容となります。担保とする不動産の価値が高ければ高いほど、金利を低く抑えられる可能性が高くなるのです。

契約者の与信

契約者の与信は、担保となる不動産の価値ほど影響は与えませんが、やはり契約者の収入や社会的立場等は、返済可能かどうかを見極める大事な要素です。与信が大きければ大きいほど、金利を低く抑えられる可能性は高いでしょう。

借入期間

どのようなローンであっても、固定金利の場合は借入期間が長ければ高金利となります。ただし変動金利型を選べば、借入期間が金利に影響することはありません。

借入金額

不動産担保ローンの場合、金融機関側は担保となる不動産の資産額を算出して、「この不動産を担保にするなら、このくらいは貸せる」といった借入最大金額を設定します。
この最大金額ギリギリまで借りるほど金利は高くなる傾向にあります。つまり、不動産の価値に対して、借入金額が小さいほど低金利が期待されます。

不動産担保ローンの金利を下げるためには

不動産担保ローンの金利を下げるために、次の3つの工夫をしましょう。

相見積もりを取り、金利比較する

複数の会社に見積もりを申し込み、金利の比較をしましょう。同じ条件であっても、会社によって審査の内容や傾向が違うため、同じ金利が適用されるわけではありません。相見積もりを取ってみた中で、最も金利の低い会社を検討しましょう。

ただし、金利が低い会社であっても、事務手数料等の初期費用が高ければ、低金利のメリットが吹き飛んでしまいます。金利も大事ですが、借り入れのための費用についても比較するのが大事です。

WEB申し込みと店頭申し込みを比較してみる

人が直接相対して相談業務を行う店頭申し込みよりも、顔を合わせずお互いのペースで手続きを進められるWEB申し込みの方が会社側の負担が少ないため、WEB申し込みの金利が優遇されている会社があります。同じ会社についても、WEB申し込みと店頭申し込みを比較してみましょう。

少額ずつ、複数回に分けて利用する

担保とする不動産の評価額に対して、借入額が少額の方が金利は低くなります。また、固定金利を選ぶなら、借入期間が短いほうが支払う金利は小さくなります。
少額ずつ、複数回に分けて利用するのも手です。少額でも完済の実績を積み重ねると、信用度のアップにもつながります。

まとめ

不動産担保ローンの金利についてご案内しました。金利は低ければ低いほど嬉しいものです。相見積もりを取り、少しでもお得に借りられるよう、会社選びを慎重に行いましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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