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信用創造  ~金融機関の存在意義と「腕の見せ所」~

トピックス2020年3月9日

世の中には多くの仕事がありますが、その中で、金融機関にしかできない仕事が1つだけあります。
それは『信用創造』です。
例えば、私が○○銀行に100万円預けたとします。○○銀行はその100万円を他の誰か(Aさん)に貸出します(自動車ローンなど)。Aさんがその100万円で自動車を購入すると、
自動車会社の売上は100万円増加します。自動車会社は売上金100万円を取引銀行に預けます…以下、同様の流れが続きます。
最初の100万円が、世の中に出回ることで、取引額合計は400万円に膨れ上がっています(私の預金100万円 + Aさんの借入100万円 + 自動車会社の売上100万円 + 取引銀行の準備金100万円)。
これが信用創造効果です。
信用創造によって、マーケットに出回るお金の量が増えます。お金の量が増えることで、消費者と生産者間の取引量も増え、経済活動は活発になります。経済活動が活発になると景気は良くなります。
これは金融機関にしかできない本来の役割であり、存在意義でもあります。
融資を通じた信用創造効果は、金融機関の腕の見せ所でもあり、景気回復の一助にもなります。

信用創造の例:
ある企業が100万円をA銀行に預金した場合、この預金を基にして市中にある銀行全体として信用創造した預金総額はいくらになるか(※銀行は20%の預金準備率で貸出するものとする)。
※準備率とは、日本銀行が銀行から預かる当座預金準備率のことです。銀行が自己資本比率規制を無視して過度な貸出を行わないようにするための縛りと考えても良いです。日本銀行が行っている
量的金融緩和は、この当座預金準備率を下げて市中にある銀行の貸出を促進する政策でもあります。

⇒信用創造の公式
➀預金創出額(信用創造額)=(1-R)/R×元の預金    R:支払準備率
②預金総額=1/R×元の預金

〈信用創造の過程〉
元の預金100   →A銀行(貸出金100×0.8)   →  (預金100×0.8)
            (準備金100×0.2)
        →B銀行(貸出金100×0.8²)  → (預金100×0.8²)
            (準備金100×0.8×0.2)
        →C銀行(貸出金100×0.8³)  → (預金100×0.8³)
            (準備金100×0.8²×0.2)
        →D銀行(貸出金100×0.8⁴)  → (預金100×0.8⁴)
            (準備金100×0.8³×0.2)
        →E銀行 …
              

預金総額=100+(100×0.8)+(100×0.8²)+(100×0.8³)+ …
    =(1/1-0.8)×100=500万円
信用創造した額は、500-100=400万円

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