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企業の目的とステークホルダーとの関わり

トピックス2020年7月21日

●企業の目的

 少し前の話になりますが、2020年1月に開催されたダボス会議は、企業の目的を再認識する機会になりました。

 これまで、企業の目的は「株主価値を最大化すること」にあり、企業は株主のために尽くし貢献することが求められてきました。

 今回のダボス会議では、企業の目的は「株主に尽くすだけでなく、顧客や労働者にも尽くし、社会や環境に貢献すること」であり、異なる多くのステークホルダー(利害関係者)を調和させることが再確認されました。

 

 私たちは、日々多くのステークホルダーの皆さまと関りあうことで、サービスを提供しあい、事業を継続し、価値を創出することができています。

 事業を営むうえで、誰とどのように関わっているか認識することで、企業価値の構成要素を把握することもできます。

 

 

 

●B/SとP/Lに見る ステークホルダーとの関わり合い

 

ここでは、B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)を通してステークホルダーとの関わりを確認してみます。

 

下図は、銀行のB/S(貸借対照表)の一例です。

銀行BS

 

 B/Sはバランスシートともいわれますが、お金の流れを通して、調達と運用のバランスをうまく説明してくれます。

 図の右側、お金をどのように調達しているかを見てみると、銀行は、「顧客から預かったお金」「投資家から募ったお金」「過去からの繰越利益剰余金」等で、運用に回すお金を調達していることが分かります。

 

 

 

続いて、民間企業のP/L(損益計算書)を例に見てみます。

民間PL

 

 売上をあげて原価や販管費を支払い、法人税を支払い、利益を確保する過程の中で、多くのステークホルダーと関わり合いを持っていることがここでも分かります。

 

 

 

●ステークホルダーへの責任

 

 私たちは、限りある経営資源を企業の成長エンジンにするためにどのように結合し配分するか、調達し運用するかについて、戦略や戦術を考える一つの基準として、ステークホルダーとの関わり合いを意識しなければいけません。

 

 冒頭でも紹介しましたが、これからは、社会や環境にどれだけ貢献しているかが企業の目的と役割になります。

 

 また、株主だけでなく顧客や労働者に尽くす考え方は、売り手・買い手・社会を満足させる「近江商人の三方よし」の考え方に通じるところがあります。

 そして大切なことは、ステークホルダーとの関わり合いを重視していく中でも、近江商人が収益を追い求めていたことを忘れてはいけません。

 

 企業の中長期的な価値の創造のためにも収益を積み重ねていくことこそが、ステークホルダーへの責任といえます。

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