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コロナショックへの対応策③ ~Essence Eye(本質を見極める眼)~

トピックス2020年4月22日

●コロナショックとリーマンショックの比較
ある問題が発生し、それを解決するために必要な最初のステップは、先ず問題を正しく把握することです。
問題の原因や背景等を正しく把握し、分析しないと、誤った解決方法を導き出してしまう可能性があるからです。
そのためには、「川を遡り、海を渡る」こと、過去の事例や海外の事例を紐解くことで、現在の問題把握に役立ちます。
コロナショックは未曽有の経済危機をもたらす可能性がありますが、危機発生のメカニズムを把握し、正しい対処法を施すことで必ず解決・収束させることができるはずです。
本コラムでは、コロナショックを考える上で、2008年に発生したリーマンショックと比較分析してみます。過去に起きた同様の経済危機を振り返り、現在を分析することで、原因や対処法を導き出すことができます。

 

  リーマンショック コロナショック
発生年月 2008年9月
アメリカ大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻
2019年12月
中国湖北省武漢市にて新型コロナウィルス感染発生
原因 サブプライム住宅ローンの不良債権化による証券化商品の暴落。前年2007年8月仏BNPパリバ銀行の投資家への資金返還拒否が引き金(サブプライムショック)。
金融機関は巨額の損失を被り、金融危機が発生。金融市場での信用収縮(流動性リスクの高まり)。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的拡大。
武漢市内から中国大陸に感染が拡がり、その後中国以外の国と地域に拡大。世界各国の主要都市で相次いでロックダウン(都市封鎖・移動制限)が実施。
経済への
波及経路
①金融業界に信用不安が蔓延
(カネがダメージ)
流動性リスクが高まり、企業への貸出姿勢が悪化。
②企業(生産者)の資金繰りが悪化。
③家計(消費者)の所得が悪化。消費の冷え込み。
①感染拡大を抑えるため、外出自粛・休業要請・行動制限。ヒト・モノの動きが停滞
(ヒト・モノがダメージ)
②サプライチェーンの崩壊による供給網の混乱。観光業・飲食業・小売業界への打撃。企業倒産・従業員解雇による家計所得の悪化。
③金融システムへの影響?
対処法 (カネを支える)
各国中央銀行による量的緩和・金利引下げ・公的資金
注入等による金融機関支援。流動性の供給により、実体経済を支える。
(ヒト・モノを支える)
疫学的観点:感染予防・新薬開発。3密回避。
経済的観点:金融・財政政策。現金給付と共に金融インフラ・信用チャネルの維持構築により、企業の資金繰りと家計の消費行動を支える。
不動産価格 商業地の不動産価格はマイナス6~7%下落。
1年~2年で回復。
観光・飲食・小売・ホテルが並ぶ商業地の不動産価格下落予想。
家計所得の減少により住宅地の下落も想定。
その他 パニック的消費行動は無し マスク・トイレットペーパー・食料品の買い占め等、パニック的消費行動の発生。自然災害時には人命や生活の危機への防衛本能が働く。
収束時期 危機発生後、失業増が2年程続く。その後、雇用・賃金・消費の回復までに5年程度を要した(失われた7年)。
※参考:GDP推移
2008年520兆円→2009年489兆円→…→2015年531兆円

政府の感染防止策と
有効需要の創出に期待

 

●本質を見極めた対応策
上記の通り、コロナショックとリーマンショックを比較すると、原因や波及経路、対処法に大きな違いがあることが分かります。
例えばリーマンショックではまず初めに打撃を受けたのは金融業界でした。金融市場での信用収縮は、金融機関間の調達資金を枯渇させ、それが企業の資金繰り支援姿勢を硬化させました。
資金繰りが悪化した企業は新規運転資金・赤字補填資金や返済猶予を金融機関に求めますが、すべての要望に応えることはできませんでした。結果として企業の倒産・自殺者の増加・経済の停滞に繋がりました。
一方でコロナショックの場合は、まず初めに打撃を受けたのは金融業界ではなく、観光・飲食・小売業界です。世界的な感染拡大を受け、外出自粛・休業要請・行動制限を盛り込んだ緊急事態宣言により、ヒト・モノの移動が停滞したためです。併せて、グローバル化の進展により合理的に構築されたサプライチェーンも、工場の閉鎖等により崩壊し、供給網は混乱しています。医療用品やマスク等品薄状態は今現在続いています。
原因や波及経路が異なれば、当然対処法も変わります。
リーマンショックの場合は、金融市場の信用不安を収束させなければいけませんでした。そのために各国中央銀行は、大規模な金融政策(量的質的金融緩和・金利引下げ等)を実施し、マーケットに資金を円滑に供給することを一番の目的としました。
コロナショックの場合は、金融政策も必要ですが、まずは感染予防策の実施です。新薬の開発が待たれますが、3密(密集場所・密閉空間・密接場面)を回避し、物理的な接触を減らさなければいけません。一方で、ヒト・モノの移動の制限による経済活動の停滞により、企業の資金繰り悪化・家計の消費・投資活動の縮小が発生しています。リーマンショック時とは異なり、金融機関は余剰資金を抱えているため、金融インフラや信用チャネルの維持構築に努めなければいけません。そのためには、政府系金融機関と民間金融機関の協力が必要です。積極的に資金を融通しマーケットに還流させることで実体経済を支えなければいけません。
企業努力では何ともできない経済危機においては、事前の諸手続きや審査は簡略化・省略し、スピード重視の対応も求められています。
また財政政策による有効需要の創出も必要です。現金給付の効果は未知数です。ヒト・モノの移動制限がある中、消費行動は限定的であり、中小企業は一時的な救済策を受けても今の損失を挽回するまで企業努力により経営を維持できるか…等課題はありますが、やらないよりはやる方がマシです。今の経済を支えないと、回復には時間がかかってしまうからです。
一方、コロナショックとリーマンショックの共通点として、両者とも「目に見えない敵」との戦いだということです。コロナウィルスは当然顕微鏡でしか見えませんので文字通り目に見えない敵です。
リーマンショックの場合、サブプライムローンを構成要素とする複雑な証券化商品であり目に見えないリスクが含まれていました。また当時の不動産バブルははじけてみないと分からないこともありました。
コロナショックを収束させるためには、疫学的な観点から見た感染拡大の収束を待つか、又は経済学的な観点から見た経済活動の迅速な正常化を政治判断で行うか、複数の選択肢があると思います。
私たちは問題の本質をしっかりと見抜き(Essence Eye)、正しい解決方法を模索していかなければいけません。

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